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結婚式について
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婚姻届を出すことが結婚
最近は結婚式というものについて、若い人たちの考え方がずいぶん違ってきています。
全国的に見ても、九〇%以上は神前結婚式をあげております。これは別に神様を信じる信じないは別として、神前で式をあげるということに、たいした抵抗も感じないで行なわれておったといえます。
また、キリスト教の人は教会で、仏教の人は仏前でと、それぞれの宗教による結婚式が厳粛に行なわれております。しかし現在では、信じもしていない神様の前で結婚式をあげることは意味がない、それよりもこれから自分たちのお世話になる先輩や友人の前で結婚の報告をし、婚姻届に署名捺印という、いわゆる人前形式の結婚式も多くなりつつあります。
こうした変わりつつある結婚式の考え方について、まず最初に戸籍制度研究のため、ヨーロッパ諸国を視察された立命館大学教授西村信雄先生に、ヨーロッパの結婚式についてお話を伺ってみましょう。
婚姻届を出すことが結婚
「わが国では、結婚といえば、式をあげて夫婦生活に入ることであり、届け出をすることは、結婚とは別の入籍の手続きだというふうに考えられています。「結婚はしたが、まだ籍が入っていない」というようなことをよく耳にします。しかし、考えてみると、法律上では、婚姻届を出すことが結婚なのであって、届け出がすむまでは結婚したとはいえないわけなのです。
ところが、この結婚の届け出というものが、わが国ではあまりにもおそまつにとり扱われているのです。本人たちが自分で役所に出頭する必要はなく、屈書を使いの者に持たせてやってもよいし、郵便で送ってもよいわけです。仮りに、本人たちが役所に出頭したとしても、ただ届書を窓口にさし出すだけのことで、全く味もそっけもない事務的な手続きにすぎません。法律上は、この届け出をすることが、いわば「結婚の本番」なのですが、こんな無味乾燥な事務的手続きを結婚の本番だと思えというのは、いうほうが無理でしょう。
欧州諸国も、結婚について、日本と同じく、法律婚(形式婚)主義をとっているのですが、その内容は全く違います。欧州諸国のうちで、イギリス、アイルランド、アイスランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、イタリアなどの国々でぱ、民事婚主義と宗教婚主義とを併用していて、戸籍役場で結婚式をあげてもよいし、教会で式をあげてもよいことになっています。また、その他の諸国、すなわちドイツ(東、「西)、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、オーストリア、スイス、.ポルトガル、ソ連、ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、ユーゴスラビアなどでは、民事婚主義の一本建てになっていて、必ず戸籍役場で、結婚式をあげねはならないことになっています。
しかし、いずれにしても一片の届書だけですむというのは、世界広しといえども、おそらく日本だけでしょう。
私は一九五六年に欧州諸国を巡って、戸籍役場で行なわれる結婚式の実態を見てきました。花で美しく飾られた戸籍役場の特別室であげられたその式は、時間にして約一〇分くらい、簡素ながら厳粛で、わざとらしさやむだなことの一つもない、これこそ結婚、の本番というにふさわしい光景でした。わが国の婚姻届は、結婚の事後報告みたいなものですが、欧州諸国では、法律上の結婚式そのものを役場であげるのです。そこに根本的な違いがあるわけです。
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